王都の片隅でひっそりと営業している旅の宿トマリギ亭。
宿の主は訪れるお客さんが語る物語に、今日も耳を傾けています。

人魚姫との友情を貫く船乗り。謎の泣き声に悩む図書館員の女性。
故郷に植える花の種を集める旅人。謎の手紙を見つけた郵便配達員。
墓守犬と出会った廃教会の薬師。臆病で心優しい騎士の少年。
孤児院で子供たちを見守る修道女。愛する王女のため、ヴァイオリンを弾き歩く青年。
そして、貴石の魔法使いと出会った旅鳥。

これは、人とそうではないものの世界が繋がった小さな奇跡の物語。
魔法にまつわる、ささやかで、ほんのりやさしいお話です。


収録内容


序章
 宿のご主人は、今日もカウンターに立ってお客さんを迎えます。

真珠姫の歌
 宿を訪れた船乗りの男性が語るのは、彼が少年だった頃の思い出。
 海に落ちた彼を助けたのは、うつくしい人魚の王女でした。

いたむ本
 王都に出張に来た図書館員の女性。彼女は子供の頃から聞こえてくる謎の泣き声に悩んでいました。あるとき彼女は、その泣き声の正体に気付いてしまいます。

プリマヴェラ
 故郷に植える花の種を集めるため、青年は世界中を旅しています。
 突然故郷を失くした彼は、枯れかけたひとつの花を蘇らせようとするのですが……。

文結び
 宛先も差出人もない手紙を見つけた郵便配達員。
 彼はその手紙に導かれるようにして、夕日色の髪の女性と出会います。

霧の中の犬
 極寒の廃教会で薬師として暮らす青年。ある雪の日、彼は墓場で黒い墓守犬を見ます。
 彼はその犬に、ある少年の面影を見出すのでした。

盾をもつ騎士
 臆病を克服しようと騎士を志した少年。
 あるとき害獣駆除の命令が騎士団に出され、彼は仲間とともに北の森へ向かいます。

天使の住む家
 孤児院で親のいない子供たちのお世話をする修道女。
 彼女がこの人生を選んだのは、ある珍しい竜との出会いがきっかけでした。

亡き王女のための
 毎年建国記念祭の日に悲しい旋律を奏でて歩くヴァイオリン弾きの青年。
 彼がヴァイオリンを弾く理由とは何なのでしょうか。

渡り鳥の細工
 ある夏の日、宿を訪れた旅鳥。
 宿の主人に用があると言ってやってきた彼は、ある魔法使いの女との出会いの物語を語り始めます。



仕様


「旅の宿トマリギ亭奇譚」
 形態:B6判・二段組み / 92P / 300円
 発行:トナカイの森 / 葛野鹿乃子
 発行日:初版 2016年5月15日(関西コミティア48)
     第二版 2016年11月6日(そうさく畑FINAL)
     第三版 2018年1月21日(第二回文学フリマ京都)

 ※初版と第三版について……
   裏表紙にあらすじと、背表紙を付与しました。
   紙の厚さを90sから70sに変更。ノドを広めに取り、ページを調整しました。


試読


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  序章 【Sample
  真珠姫の歌 【Sample